もともと上の方から攻撃される場所で暮らしていなかったから。

カーテンの前を通ったら、いきなり猫が飛び出してきて足首に抱きつかれ、その挙句に猫キックをお見舞いされる。これは明らかに狩りのマネゴトなのだろう。特に人間がせわしなく部屋の中を動き回っていると、飼い主の足があちらこちらと動くのが面白いのか、何度も離れては捕まえ、離れては捕まえに来たりもする。

ふだんは.もっぱら飼い主が猫に好きを突かれてビックリするパターンだが、たまに逆のパターンもある。例えば、猫が足元にいると気付かなかった飼い主に、足先やしっぽを踏まれた猫が、「ギャッ!」と叫んで逃げていくことがある。たいしたことがなければ笑い話なのだが、運が悪く飼い主が猫の身体をふんづけてしまい、けがをさせたり死なせたりしてしまう事故もある。警戒心が強い猫が、なぜ簡単に人間に踏まれてしまうなんてことが起こるのだろうか。

 野性の猫は、葉の茂った木の上を主な生活場所にしていた。葉の陰に隠れていたので、上から外敵に狙われることはほとんど心配しないでも暮らせてきていたのだ。猫のアンテナはすばらしい感度を誇るが、そうした葉の陰での生活のおかげで、あまり上からの攻撃は想定せずに生きていけた。頭上は無防備だったのだ。そのため上から降ってくる人間の足には気づかず、踏まれて痛い目にあってしまう。猫がそばへ寄ってきたときは飼い主の方が気をつけてあげて、猫がケガをするような事故を未然に防ぐことが大切だ。

野性の頃、猫は木の上で生活していたので、上からの攻撃には意外にも無防備になってしまうものらしい。