「この猫ちゃん、かわいそうだからエサをあげよう」では、猫の肩身が狭くなる。

外猫はたいていお腹を空かせている。「ああ、かわいそう!」という同情から外猫に食べ物を与える行為が、実は外猫の居場所を奪ってしまうこともあるのをご存じだろうか。

 例えば公園でむやみに外猫に食べ物を与えると、そこに猫が集まることになり、公園が猫のトイレになってしまう事例も数多くある。子供が猫の糞に触って衛生上危険(ジアルジア、条中症、回虫症などの異所寄生に注意)になる。公園のあちこちから悪臭が漂うなどの問題が発生し、市町村で「猫を駆除する」という結論になることもあるのだ。

 自宅の庭ならかまわないかというと、これもご近所トラブルのもとになりがち。やはりご近所で猫の排泄場所が増え、食べ物を与えていた家が怒鳴り込まれたり、被害に耐えかねた人が毒をまいて猫を殺してしまうこともある。猫好きにとっては「仕方ないことかなあ」と許せることでも、猫嫌いな人にとってはたまらなく不快ということも理解しないと、外猫が「地域にいて欲しくない迷惑な存在」になってしまうのだ。 

 こうした人間同士の問題だけではなく、食べ物が出しっ放しになっていると、カラスやネズミを集まってきて子猫が危険にさらされることもある。また腐ってしまったものを猫が食べて、病気になってしまう可能性もあるので、外猫に食べ物を与えるのはさまざまな条件がクリアになったときのみと、よく考えて行動しよう。

 

外猫への餌付けは、猫嫌いの人にとってはたまらなく不快な行為。

市町村で「猫を駆除する」という残念な結論をまねくことにもつながりかねない。