「気分が向いたらしてやってもいいよ」が猫の言い分

 飼い主の言葉に従って、「おすわり!」「お手」「とってきて!」など、飼い主の指示に従ってさまざまな芸をする犬たち。それがまるで飼い主と愛犬の絆の証明のようで、猫派だってちょっぴりうらやましくなったりする。「猫は覚えられないのじゃないの?」などと犬派からは心無い言葉を言われることもある。猫というものは一般的に芸をしない、覚えようとしない、と考えられているが、一方で動物プロダクションに所属し、映画などで堂々と演技を披露する猫や、猫だけの曲芸団などもある。教えている方に相当な根気が必要だと思われるが、猫だってちゃんと芸は出来ているのだ。

それを証明するように、猫というのは人間のマネがとてもうまい。例えば、レバーを下げて開閉するドアノブを器用に使ってドアを出入りする猫はいるし、網戸を開けて脱走する猫も多くいる。犬というのは、飼い主から誉められてうれしいから芸をするのだが、猫は性質として、自分に得があるからマネをして覚えるのだ。猫に芸を仕込もうと叱って教えようとしてもダメなので諦めたほうが無難なようだ。

猫が芸をするのかどうかは、猫が面白そうだと、気の向いたことはするけれど、基本的に猫というものは自分の得にならないことはしないものである。