猫は、人間には聞き取れない音が聞こえている。

猫がじっと壁や天井を見ている。しかしそこには何もいないし、音もしていない。しかし猫は熱心に見続けている。もしかしたらそこにお化けや妖怪でもいて、それは人間には見えないのだろうか?!「なんか見えているの?」と聞きたくなるほどに見つめている猫。

 だが、心配はいらない。猫には神秘的な力がある(?)のかもしれないが、少なくともこうした場合は、人間には聞こえない音に、じっと耳を澄ましているだけなのだ。低音を聞き取る能力は、人間も犬も猫もそれほど差がない。だが、高温となると、人間は約20kHzまで、犬は約40kHz、そして猫はそれをはるかに上回る約80kHzまで、よく聞き取るのだ。

 猫がずっと獲物にしてきたネズミなどは、約20~90kHzの高温で鳴きながら動き回っている。おそらくこうした獲物の居場所をとらえるために、猫の耳は高音をよく聞き取れるように進化したものと思われる。こうした獲物が立てる小さな音を、猫は耳でキャッチする。この耳は、3左右別々の向きにうごかせるのはもちろん、後ろにも前にも向けられる。非常に優秀なアンテナなのだ。両耳に音が入るわずかな時間差や、音の大小で、音を立てているものとの距離を、正確につかむこともできる。もしかするとあなたの部屋の壁の向こうには、ネズミがいるのかも?!

 

 

じっと上のほうや壁を見つめる猫。それは実は猫にだけ聞こえる音域の音にじっと耳を澄ませているから。